「8月から保険証が使えない」は、本当でした

7月の終わりごろ、窓口でぽつぽつと聞かれました。「ねえ、8月から保険証が使えなくなるって本当?」——結論から言うと、半分本当で、半分は誤解でした。

正確には、これまで「有効期限が切れた旧・健康保険証をうっかり持ってきても、そのまま使えていた」という暫定的な対応が、2026年7月31日で終わりました。上野厚生労働大臣も、3月の会見で「7月末以降の追加の延長は想定していない」と明言しています。予告どおり延長はなく、8月に入って本当の最終期限を迎えたことになります。

とはいえ、8月になったから急に病院や薬局にかかれなくなる、という話ではありません。落ち着いて、手元のものを確認しておけば大丈夫です。この記事では、薬局の窓口から見えている実際の様子と、患者さんに確認しておいてほしいことを、なるべくやさしくまとめてみます。

そもそも、何がどう変わるの?

ざっくり整理すると、こういう流れです。

  • もともと、紙の健康保険証は新規発行が止まっている
  • 期限切れの旧保険証を持参しても使えた暫定対応が、2026年7月31日で終了した
  • 8月1日以降は「マイナ保険証」か「資格確認書」の2択になった
  • 「資格確認書」は、マイナ保険証を持っていない人に無償で(申請しなくても)届く紙のカード

大事なのは、マイナ保険証を持っていない人は、代わりに「資格確認書」があれば、これまでどおり受診できるという点です。マイナンバーカードを絶対に作らないといけない、という話ではありません。

窓口でいま、起きていること

現場の実感からお話しします。

ご高齢の患者さんは、資格確認書を出される方がとても多いです。車椅子でいらしたり、娘さん・息子さん・ご夫婦のどなたかが代理で受診されたりすることも珍しくありません。そういう場面では、マイナンバーカードの読み取りに慣れていないことも多く、「カードをかざして、暗証番号を入れて……」という手順そのものを、手間に感じている方も少なくない印象です。

そして、マイナ保険証と資格確認書を両方持っている方もいらっしゃいます。両方あると、やっぱり手っ取り早いほうで、と資格確認書で済ませようとされる方も多いです。

「両方持ってる」の正体は、これでした

じつは私自身、「なんで両方持っている人がこんなに多いんだろう?」と、しばらく不思議に思っていました。調べてみて、腑に落ちました。

75歳以上の後期高齢者の方には、マイナ保険証を持っていても、全員に資格確認書が届いているんです(7月末までの暫定的な措置)。だから「両方持ち」が多いのは、ごく自然なことだったわけです。

ここで、窓口でよく聞かれる疑問にお答えしておきます。

  • 両方持っていたら、どっちを使えばいい? → どちらでも大丈夫です。手元にある使いやすいほうで受診できます。
  • 資格確認書は、ずっと使えるの? → いいえ、有効期限があります(5年以内で、加入している健康保険が設定)。とくに、いま後期高齢者の方に届いているものは「2026年7月末まで」有効のものが多いので、8月以降は新しい期限のものが改めて届きます。手元のものが期限切れになっていないか、いちど見てみてください。
  • 資格確認書を持っているのは後期高齢者だけ? → いいえ。マイナ保険証を持っていない人には、世代を問わず届きます。後期高齢者だけが「持っていても全員に届く」特別扱い、ということです。

混雑した時間帯に、読み取り機が止まった話

一度、ヒヤッとしたことがあります。

患者さんが次から次へといらっしゃる時間帯に、マイナ保険証の読み取り機が急に動かなくなってしまったんです。列はどんどん伸びるし、待っている方の視線も感じるし、内心はかなり焦りました。

そのときは、機械そのものを再起動して、つながっているパソコンの状態も一つずつチェックして、なんとか再開までこぎつけました。事なきを得ましたが、「便利になったはずのものが止まると、現場はこんなに慌てるんだな」と、あらためて実感した出来事でした。デジタル化は、うまく回っているときは本当に速い。でも、止まったときのことも、まだまだ現場で備えていかないといけないなと思います。

一本化の方向は、前向きに受け止めています

私自身は、マイナ保険証への一本化という方向は、前向きに受け止めています。政府がこれだけマイナンバーカードの普及を進めてきた以上、あちこちの仕組みを一つにまとめていくのは、長い目で見ればいいことなのだろうと思います。

ただ、正直に言えば、現場がまだ完全には追いついていないのも事実です。読み取り機のトラブル、暗証番号を忘れてしまう方、代理受診で戸惑うご家族——そうした一つひとつに、窓口はまだ手を添えている段階です。だからこそ、制度の理想を押しつけるのではなく、高齢の方や代理の方が困らないように、現場はもう少し寄り添っていきたいな、と思っています。

8月に入ったいま、これだけ確認しておいてください

最後に、患者さん・ご家族に向けて、いちばんお伝えしたいことを3つにまとめます。

  1. 期限切れの紙の保険証は、もう使えません。 これがいちばん大事です。「なんとなく今までどおり」は、8月からは通用しなくなりました。
  2. 資格確認書をお持ちの方は、有効期限を確認してください。 とくに「2026年7月末まで」のものは、すでに期限が切れています。新しいものが届いているか、あわせてチェックを。
  3. マイナ保険証を使う方は、暗証番号(4桁)を思い出しておいてください。 忘れていても、顔認証で受け付けられる場合が多いので、慌てずに窓口で声をかけてくださいね。

どれも、いざ体調が悪くなってから慌てないための、ちょっとした準備です。ご家族に高齢の方がいらっしゃるなら、「資格確認書、届いてる?期限は大丈夫?」と、一声かけてあげてもらえたら——窓口の一人として、そう願っています。

※本記事は執筆時点の情報と、私個人の理解・現場での実感をまとめたものです。制度の細かい運用や期限は、加入している健康保険によって異なる場合があります。正確な内容は、お手元の保険者からの通知や、厚生労働省などの公式情報をご確認ください。


🏥 制度は変わっても、働き方は自分で選べる

マイナ保険証も調剤報酬も、現場の私たちが決められないところで動いていきます。振り回されがちだからこそ、自分の働き方くらいは選べるようにしておきたい。転職しなくても、求人や相場を眺めておくだけで、心の余裕につながります。

  • ファルマスタッフ
    派遣・パート求人が豊富。他の職場の条件や体制を知りたいときに。
  • セルワーク薬剤師
    求人数が多く、選択肢を広く見たいときに。掛け持ち先探しにも。

※ 本記事にはPR・紹介リンクを含みます。

現場・制度まわりの関連記事もどうぞ。