2026年6月、調剤報酬改定が施行されました。
調剤報酬は、薬局の売上のおおもと。つまり私たち薬剤師の給料の原資です。
制度の細かい点数の話は専門メディアに譲るとして、この記事では「現場の薬剤師の年収と働き方にどう効いてくるか」に絞って、複数の薬局を掛け持ちしている立場から注目している3つの変化を書きます。
変化①:賃上げの財源はできた。でも自動では上がらない
今回の改定は「物価・賃金への対応」が大きなテーマで、薬剤師の賃上げを後押しする内容が盛り込まれました。
ただ、ここで大事なのは——
報酬が上がる = 自分の給料が上がる、ではないということ。
改定で入ってくるお金をどう配分するかは、各薬局・各会社の判断です。実際、過去の改定でも「原資はあるのに給料に反映されない」という声は珍しくありませんでした。
だからこそ、私は自分の時給・給料が世間の相場とズレていないかを定期的に確認するようにしています。
改定の年は、各社の給与テーブルや求人時給が動きやすいタイミング。自分の市場価値を見直すにはいい機会だと思います。
変化②:かかりつけ薬剤師は「実績重視」へ
これまでの「かかりつけ薬剤師指導料」は廃止され、評価のかたちが変わりました。
ざっくり言うと、「かかりつけになっている」ことへの包括的な評価から、「実際に何をしたか」の実績への評価へという転換です。フォローアップや在宅対応など、行動した分が評価される方向になりました。
薬剤師個人のキャリアで見ると、これは結構大きな話だと思っています。
- 服薬フォロー、在宅、対人業務の経験がある人の市場価値が上がる
- 逆に「処方箋をさばくだけ」の働き方は、評価の面でどんどん苦しくなる
掛け持ちで複数の職場を見ていると、薬局によって対人業務への力の入れ方は本当にバラバラです。どの職場で何の経験を積むかを意識して選ぶことが、これからの年収戦略に直結すると感じています。
変化③:門前依存への圧力——職場の「立地」がリスクになる時代
今回の改定では、特定の医療機関に依存した「門前薬局」への評価がさらに厳しくなりました。
これは働く側から見ると、「職場の売上構造」が自分の雇用の安定に関わるということです。
処方箋の集中率が高い薬局は、今後も改定のたびに逆風を受けやすい。一方で、地域の複数の医療機関から処方箋を受け、在宅にも取り組む薬局は評価される流れです。
私が掛け持ちという働き方を選んでいる理由のひとつは、まさにここにあります。
収入源がひとつの職場に依存しないこと。
勤め先の経営が傾いても、処方元の病院が移転しても、収入がゼロにはならない。制度がこれだけ動く業界だからこそ、職場の分散はそのままリスク分散になると考えています。
で、私はどうするか
3つの変化を踏まえて、私がやること・やっていることです。
- 時給・給料の相場チェック。改定後の求人相場を眺めて、自分の条件と比べる(転職しなくても、知っておくだけで交渉材料になります)
- 対人業務の経験を意識して積む。フォローアップや在宅の経験は、どの職場でも通用する「持ち運べるスキル」
- 掛け持ちを続ける。ひとつの職場・ひとつの制度に人生を預けない
改定そのものに一喜一憂するより、「制度が変わっても困らない状態」を作っておく。結局これがいちばんの防御だと思っています。
まとめ
- 2026年6月施行の調剤報酬改定は賃上げ対応がテーマ。ただし給料に反映されるかは職場次第——相場チェックの好機
- かかりつけ薬剤師は実績重視の評価へ。対人業務・在宅の経験が市場価値になる
- 門前依存への圧力で、職場の売上構造が雇用リスクに。掛け持ちはそのままリスク分散になる
- やることは、相場を知る・スキルを持ち運べる形で積む・収入源を分散する。この3つ
薬剤師の働き方も、投資と同じで「分散」が効くと思っています。
制度改定の年こそ、自分の働き方を棚卸しするチャンスです。
※本記事は執筆時点の情報と私個人の理解・考えをまとめたものです。点数・算定要件の正確な情報は厚生労働省・日本薬剤師会の公式資料をご確認ください。
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