前回の記事で、米国の集中型ファンド「メガ10」と「S&P500トップ10」を比較しました。

今回は同じ米国株サテライト枠でも、ちょっと毛色の違う一本——アクティブ運用の「SMT米国株式モメンタムファンド(愛称:トレンドランキング・米国株)」について書きます。

“モメンタム投資"という考え方自体が面白いので、その紹介を兼ねて、買ってみた所感もまとめます。

モメンタム投資とは——「上がっているものは、もう少し上がりやすい」

モメンタム投資は、ひとことで言えば「直近で値上がりしているものに乗っかる」戦略です。

学術的には、Jegadeesh & Titman(1993)の論文で

過去3〜12ヶ月で好調だった銘柄は、その後3〜12ヶ月もアウトパフォームしやすい

という現象(モメンタム効果)が報告されて以降、ファクター投資の代表的な要素のひとつとされています。

バリュー、サイズ、クオリティと並ぶ"4大ファクター"のひとつです。

直感に反するように聞こえるかもしれません。

「割安なものを買え(バリュー)」と教わってきた人にとっては、「高くなってるものを買え」は逆向きの発想ですから。

でも実証データではこの効果が長年確認されており、ヘッジファンドや機関投資家も多用しています。

つまりモメンタム投資は、インデックス投資とは違う原理で動くファンドです。

S&P500やNASDAQ100のような「指数連動」ではなく、「ルールベースで勝ち馬を機械的に選び続ける」設計。

ここがこのファンドの本質です。

SMT米国株式モメンタムファンドの基本スペック

まずは基本情報を並べます。

項目 内容
正式名(愛称) SMT 米国株式モメンタムファンド(トレンドランキング・米国株)
運用会社 三井住友トラスト・アセットマネジメント
設定日 2025年12月16日
タイプ アクティブファンド(モメンタム・ファクター投資)
銘柄選定 短期・中期・長期の株価上昇率に基づき機械的に選定
組入銘柄数 原則21銘柄
組入比率 均等配分(等金額)
銘柄入れ替え 年4回(2月・5月・8月・11月末基準で翌月実施)
信託報酬(実質・税込) 約0.77%
購入時手数料 最大3.3%(販社による、ネット証券はノーロード可)
NISA 成長投資枠は対象(つみたて投資枠は対象外)
為替ヘッジ なし

ここから読み取れる特徴は3つあります。

特徴①:短期・中期・長期の上昇率を組み合わせて銘柄選定

このファンドは、米国株式市場の中から「複数の期間でしっかり上昇している銘柄」を機械的にピックアップします。

短期だけでなく、中期・長期も見ることで、一時的なバブル銘柄や偶発的な上昇に飛びつかない設計になっています。

たとえば「3ヶ月だけ急騰したミーム株」は、長期で見るとパッとしないので選ばれにくい。

逆に「1年・3年通じて着実に上昇している企業」は、複数期間の基準を満たすので選ばれやすい。

複数のタイムフレームで篩にかけることで、モメンタム効果の質を上げているわけです。

特徴②:21銘柄・均等配分

選ばれた銘柄を、ほぼ均等の比率で持ちます。

ここはメガ10と同じ発想で、特定の超大型1〜2銘柄に偏らないようにする工夫です。

21銘柄それぞれを等しい金額で持つことで、特定銘柄に依存せず、各銘柄のリターンをフラットに享受しようという設計です。

時価総額加重だとAppleやNVIDIAの影響をモロに受けますが、均等加重なら個別銘柄リスクが分散されます。

特徴③:年4回の銘柄入れ替え

ここがインデックスファンドとの最大の違い。

年4回(2月・5月・8月・11月末を基準に翌月)組入銘柄を見直します。

トレンドが変わって失速した銘柄は入れ替えで外され、新たに勢いが出てきた銘柄が組み入れられる。常に「今、勢いがある21銘柄」を持ち続ける設計です。

インデックスファンドの「年1回見直し」と比べても入れ替え頻度が高く、変化への追従性は高い。

この"機械的なドライさ"を象徴する出来事がありました。

2026年2月末の銘柄見直しでは、なんとエヌビディアやブロードコムが除外されたのです。

あれだけAIブームを牽引してきたNVIDIAですら、モメンタムの基準で見て勢いが相対的に落ちれば、容赦なく外される。

人間なら「NVIDIAは別格だから残そう」と忖度しそうなところを、ルールベースで淡々と入れ替える。

これがモメンタム投資の本質であり、好き嫌いが分かれるポイントでもあります。

このファンドのメリット

私がこのファンドに魅力を感じたポイントを挙げます。

ひとつめは、インデックスとは違う収益源になり得ること。

S&P500やオルカンと同じ動きをしても意味がない。

モメンタムというファクターを取り入れることで、コア資産との相関が完全には一致しない、別の値動きを期待できます。

ふたつめは、理論的裏付けがあること。

「なんとなく流行ってるから買う」ではなく、学術的に長年研究されてきたファクターに乗る、というのは安心材料です。

みっつめは、NISA成長投資枠の新しい選択肢として登場したこと。

これまで日本でモメンタムファクターに手軽に投資できる投資信託は限られていました。

成長投資枠の対象なので非課税で持てるうえ、コストも実質0.77%と、アクティブファンドとしては許容範囲です。

(※つみたて投資枠の対象ではない点には注意。)

デメリット・注意点

公平に書きますが、見過ごせない弱点もあります。

ひとつめは、設定からまだ日が浅いこと。

2025年12月設定なので、実運用データはまだほとんどありません。

シミュレーションと実運用は別物です。

ふたつめは、モメンタムクラッシュのリスク

モメンタム戦略は相場の急反転に弱いことで知られています。

2009年3月の急反発局面のように、それまで売られていた銘柄が急騰し、買われていた銘柄が失速する場面では、モメンタム戦略は大きく負けることがあります。

みっつめは、売買回転率が高いことによる隠れコスト。

年4回入れ替えるということは、その分、ファンド内部での売買コストや税金が発生します。

表面の信託報酬には現れない部分です。

よっつめは、インデックスファンドより信託報酬が高いこと。

0.77%は同種のアクティブファンドとしては悪くないですが、0.1%前後のインデックスと比べれば、年率0.6%以上のハンディキャップは長期では効いてきます。

私が買った理由

正直に書くと、最初の動機は「新しいファンドが出たから試してみたかった」という好奇心です。

これはゴールドプラスでの反省(ニュースに釣られて買った話)と比べると、若干マシな動機ではありますが、それでも"投資の必然性"があったかと問われると怪しい部分はあります。

ただ、買ってみたうえで改めて整理した結果、コア資産(オルカン・S&P500系)とは違う収益源としてサテライト枠で持つ意味はあると納得しています。

インデックスと別動きを期待できるアクティブを少額だけ持つ、というのは私の投資方針とは矛盾しません。

現在の含み損益と所感

含み損益については、保有期間がまだ短いので具体的な数字は控えますが、現状はプラス圏で推移しています。

ただし、設定から半年程度しか経っておらず、今のところは米国株市場全体の好調に乗っているだけ、というのが正直なところ。

このファンドの真価が問われるのは、市場が荒れたとき。

トレンドが大きく転換する局面でモメンタム戦略がどう振る舞うか、ここを実際の保有を通して見届けたいと思っています。

私の保有ファンド全体像(コア+サテライト)

参考までに、現在の私の保有ファンドを「コア」と「サテライト」に分けて並べると、こんな構成になっています。

ファンド タイプ 役割
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 全世界株式 コア:全世界
楽天・プラス・オールカントリー株式 全世界株式 コア:全世界
楽天・プラス・S&P500 米国大型500銘柄 コア:米国
楽天・VTI(バンガード・トータル・ストック) 米国株式全体(約4,000銘柄) コア:米国
楽天・VWO(バンガード・エマージング) 新興国株式 コア:新興国
eMAXIS Slim 新興国株式インデックス 新興国株式 コア:新興国
ニッセイ・S米国グロース株式メガ10 上位10銘柄・均等配分 サテライト:集中
Tracers S&P500トップ10 上位10銘柄・時価総額加重 サテライト:集中
楽天・プラスNASDAQ-100 NASDAQ100(100銘柄) サテライト:テック
Zテック20 世界テック上位20銘柄 サテライト:テック
一歩先いくUSテック・トップ20 米国テック上位20銘柄 サテライト:テック
iFreeNEXT FANG+ FANG+(10銘柄・均等) サテライト:テック
SMT米国株式モメンタムファンド モメンタム・ファクター サテライト:ファクター
eMAXIS Neo 宇宙開発 宇宙開発テーマ サテライト:テーマ
楽天・ゴールド・ファンド(為替ヘッジなし) 金(コモディティ) サテライト:金・観察用

こうして並べると、自分でも「盛りすぎでは…」と苦笑いするしかありません。

コア側で全世界・米国・新興国の土台を作りつつ、サテライト側は集中型・テック・ファクター・テーマ・金と、いろんな方向に手を伸ばしてきた結果がこれです。

正直に告白すると、コアの中にもかなりの重複があります。

たとえば「eMAXIS Slim オルカン」と「楽天・プラス・オールカントリー」は連動指数がほぼ同じ(MSCI ACWI系)で、実質的に同じものを2本持っている状態。

さらにVTI+VWOを合わせると全世界に近くなるので、オルカンと役割が被ります。

S&P500もオルカンの米国部分(約6割)と重なります。

「分散しているつもりが、中身は同じ銘柄を何重にも持っている」——これはサテライトのテック4本だけでなく、コアでも起きていることなんです。

なぜこうなったのか、どう整理すべきかは、改めてじっくり書く予定です。

今は”散らかった現状“をありのままに記録しておきます。

※本記事は私個人の保有実績と判断をまとめたものであり、特定の金融商品の売買を勧めるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。


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